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2023.11.07
レスリング部

‘‘無名選手’’から‘‘日本代表’’へ 学生チャンピオンの挑戦

8月に開催された全日本学生選手権(通称:インカレ)において、女子フリースタイル72㎏級で見事優勝を果たした、レスリング部の新倉すみれ選手。この大会の他にも多くの優勝経験や日本代表に選出されるなど、大学に入学してから着実を実績を積み上げてきた彼女に、これまでの3年間で得た経験や今後の目標について話を聞いた。

【略歴】

新倉 すみれ(にいくら すみれ)

神奈川大学人間科学部 3年
出身地:神奈川県横須賀市
出身高校:安部学院高校

「8月のインカレを振り返り、率直な感想を教えてください。」

新倉 すみれ(以下、新倉)
昨年のインカレはU20世界選手権が重なり出場できませんでしたが、今年のインカレは1年生以来の2度目の優勝が懸かっていました。地元、横須賀での開催ということもあり、少しプレッシャーを感じた部分もありましたが、優勝することができてホッとしています。

「様々な世界大会の経験があると思いますが、インカレと他の大会と何か違いは感じますか?」

新倉
個人的には、シニアの大会の方がより緊張感があります。インカレは学生だけの大会であるため、そこまで緊張はしませんでした。

「世界大会に出場する際は、どのような気持ちで臨んでいますか?」

新倉
他の階級の代表選手は、中学生や高校生の頃から日本代表として世界で活躍していますが、私は大学生になって初めて代表入りを経験したため、海外の選手をよく知っている訳ではありません。どの大会でも優勝することを目標としていますが、世界大会は自分の実力を試す場で、今の自分の世界での位置を確認する場であると思っています。あまり気負いすぎず、でも勝つ気持ちを大切にして臨んでいます。
  

「神大レスリング部のどんな部分が自分に合っていると感じますか?」

新倉
1年生の時は、私の他に女子選手が一人しかおらず、階級も異なるため男子選手と練習で組むことが多くありました。最初はパワーや体力で負けていましたが、練習を重ねるうちに相手のプレーの癖が分かるようになっていきました。次第に勝てることも増えていき、それが自信につながりました。

「高校時代よりも大学に入学してから良い成績を残していますよね。」

新倉
高校生の頃は、良くても3位くらいの成績でした。高校3年生の年に新型コロナウイルス感染症が流行し、全体練習ができない日々が続きました。それでも、インターハイが開催されると信じ、できることはしっかりやろうと思い、家で筋力トレーニングを頑張りました。その結果基礎力が付き、大学入学後の結果に結びついたと思います。

「今回、神奈川スポーツ賞を受賞しましたが、感想を教えてください。」

新倉
過去に横須賀市スポーツ協会から賞をいただくことはありましたが、今回は神奈川県から大きな賞をいただくことができ、嬉しく思います。スポーツで表彰をされている人が少ない中、私の成績を調べて受賞者に選んでいただけたことは、とても光栄です。

「今までの試合の中で、特に印象に残る試合を教えてください。」

新倉
1年生の12月に開催された天皇杯の決勝です。この試合で、初めて優勝することができました。相手は格上で、全日本の合宿で何度かスパーリングしたことがありましたが、ほとんどポイントが取れなかった選手でした。実力的には圧倒的に負けている立場であったので、決勝で勝てたことはもちろん嬉しかったですが、「出来すぎている」と感じました。大学に入学し、4年間のうちに全国優勝することを目標にしていましたが、1年生で目標を達成をしてしまったので、優勝した瞬間は「本当に優勝したのか?」と、驚きの方が強かったです。

「当初の目標を達成し、次の目標はすぐに見つけられましたか?」

新倉
天皇杯で優勝することができ、翌年3月のアジア選手権の代表に選ばれました。その大会で優勝するという大きな目標をすぐに立てられたため、上手く切り替えることができました。

「吉本監督からの言葉で、心に響いたものを教えてください。」

新倉
監督は普段、試合の勝敗に関わらず反省点を伝えてくれます。勝ったら「おめでとう」と言ってくださり、負けても怒ったりせずに次に向けてのアドバイスをいただけます。そのおかげでいつも上手く切り替えることができます。 そんな監督が、今年6月の明治杯の決勝で負けた時に「今日だけは落ち込んでいい」と声をかけてくださったときは、心に響きました。その試合で負けたことが本当に悔しく、他の人は「よく頑張ったね」「次また頑張ればいいよ」と励ましの言葉をかけてくれる中、監督だけは「今日だけは落ち込んでいいから、また明日から頑張ろう」と言ってくれました。この試合にかけていた想いが大きかったため、その言葉にとても助けられました。

「同学年の尾崎野乃香選手(慶応義塾大学所属)は神大のレスリング場で一緒に練習していますよね。」

新倉
野乃香は負けず嫌いで世界チャンピオンという肩書もあるため、私に負けたくないという気持ちは強くあると思います。私としても、野乃香は自分より階級が下の選手であるため勝たなきゃいけないと思っていますが、勝てない時もあります。野乃香には敵わない部分が多いです(笑)マットから降りたら、とても仲良しです。

「自身の強み・弱点はどのような部分ですか?」

新倉
得意なことはハイクラッチです。苦手なことは左構えの選手と組むことです。神大には左構えの選手が少ないですが、野乃香は左構えで重心の低い素早い片足タックルを入れてくるため、野乃香と練習することで弱点の克服に繋げられています。
   

「今後の目標を教えてください。」

新倉
10月15日に開催されるフォーデイズカップで、明治杯で負けた相手にリベンジをします。そこでしっかり勝ってから、12月の天皇杯で3連覇をすることが目標です。

「応援してくださる方へメッセージをお願いします。」

新倉
いつも練習の送迎やサポートをしてくれる家族には、しっかり勝って結果で恩返しをできるように頑張ります。 地元のクラブチームや今まで指導してくださった監督など、多くの方の期待に応えたいです。その期待をプレッシャーに感じず、試合に勝って返していきたいと思います。これからも応援よろしくお願いします。

今後の目標として挙げていた、2023年フォーデイズカップ全日本女子オープン選手権では見事優勝を果たし、さらに成長を続ける新倉選手。苦しいコロナ禍でも手を抜くことなくトレーニングを重ね、本学入学後に多くの輝かしい成績を収めてきた彼女の勢いは止まらない。”無名”どころか日本代表の常連となった今、天皇杯3連覇、そして世界の頂点へ挑戦する新倉選手のさらなる活躍に期待がかかる。